Tokyo 8月24日(土)
         
 
   自分たちを守るための情報源
  

 官僚たちが民間から得た情報は、国民のためではなく、官僚たちやその仲間たちの保身 を最優先につかわれているというのが実態に近いのではないでしょうか。
 建築建材につかわれていたホルムアルデヒドは、医療用にはホルマリンとして使われているのですが、揮発性があり、建築材料の合剤 (接着剤)として使われいたことにより、非常に多くの“シックハウス症候群”が引き起こされ、多くの人が「化学物質過敏症」に罹患し た状態を放置されていました。
 発症して、重篤に至るのは数からいうとごく僅か。つまり、それまで体内に蓄積した物質は体外に排出されないため、一定量に至るま で、表向きには何ともないのですが、体内被曝が重なると、体が限界に達して、「シックハウス症候群」を発症します。
 そのときには、“症候群”とされるように、不眠や過敏症などさまざまな症状が出てくるのであり、もっとも苦しめられるのは、食品の なかにナノレベルで残っている「農薬」に神経反応が引き起こされ、スーパーなどで買ってきた食材がほぼ使えなくなるのでした。しか し、それはほんの出だしにすぎないのであり、酷くなると、それまでなんともなかった衣服や布団にまで反応。つまり、日常生活や夜寝る ことさえままならず、外の風通しの良い、たとえば、河川敷などで昼夜を過ごさなければならない患者さんも多数おられました。
 “患者”という認識は、医療サイドがこれを「病気」と認めるかどうか、医療機関が病名を与えるかどうかにかかっていて、「気が狂っ た」とか「更年期障害」、ひどいのは「精神病に罹患した」などとされしまうことさえあったのであり、患者さんのネットワークには罹患 した妻も加わっていたのですが、あるひ代表の方から次のような電話がありました。
 じつは、患者さんたちの願いは「病気として認知してほしい」という願いをもっていて、(当時の)厚生省に陳情に行きたいのだが、外 に出ることが可能な人は一人もいないので、旦那さんに厚生省まで出向いていただき、患者の声を政府に伝えてほしい」というものでし た。
 わたしは、大学教授の方や、その他、数名の「患者さん代理人」に加わり、厚生省に出向き、担当官に折衝することになりました。

 担当してくださって厚生省官僚は、非常に誠実に対応してくださったと思います。
 医者の資格を持った方でした。
 「化学物質過敏症については、病気であると認識しているものの、薬事業界には東大医学部の発言力が強く、なかなか動かない」
 なぜ、東大医学部がホルマリンの危険性をわかっていながら、建材業界に使用を認め続けたのかというところで、唖然としたのは、「大 量の在庫をかかえているため、在庫整理の見通しがつかないままだと、膨大な損失を与えかねない。それで、代替案が見えるまで、禁止は できないということになっている」というところでした。
 身内の利権を守るために、民間に流通しているホルマリンの人体への毒性がわかっていたにもかかわらず、認可を止めなかった責任があ るのではないかと問い詰めたところ、「時間がかかる」でした。
 この利権の構造は、薬害エイズ問題が生まれた本質と軌を一にしています。
 危険性がわかっていながら、放置され続けたところは、事実上の棄民政策とみなされます。
 ところがさらに、陳情にむかったわたしたちを驚かせたのは、民間の声として「ホルマリンを危険だ」と認識している役人たちが、自分 たちの自宅をつくるとき、その情報を利用し、完全に「シックハウスフリー」の家を建てていたことでした。
 正直といえば正直。
 しかし、民間に苦しんでいる人々を横目に見ながら、自分たちは危険性を排除しているというのは、行政としておかしいのではないかと いう意見にたいして、明確な応えはありませんでした。
 これはひとつの原則として、たとえば放射能の危険性や病気の発生について、熟知している側である官僚らは、自分たちと時分たちに関 連のある人々に“警告”を出しているものの、マスコミなどにはそれをあえて流さず、政府がおこなっている「事実上の見殺し」に加担し ているのではないでしょうか。すべてはアベの栄光のため。つまり、おそらくオリンピックが終わるやいなや、放射能の危険性についてマ スコミは放出するように垂れ流すであろうと思われます。
 官僚たちが優秀でないのではなく、「愛」が冷えているところからきているのだとわたしは思います。
 愛のない政治が跋扈し、官僚らが忠実な政権側のロボットとしてのみ動くことを許されているからです。
 「自分たちと仲間たちだけが良ければ、あとはどうでもいい」という、心の病です。
 このような状態がら日本が抜け出せる日が来るのでしょうか。暗澹たる気持ちに苛まされます。