Tokyo 1月13日(日)
         
 なぜ、チアと袂を分かったか その3

 丸森グループのなかで生まれ育ち、養子として育てられたものの、虐待などに耐えられず、夜逃げなどして丸森の外にでた方の数はおよそ100名にも及ぶと 書きましたが、最近、そのような方のなかで、丸森から脱走した経験をもっておられるお一人の方と5時間を超えるインタビューが実現しました。
 一字一句ではなく、要旨をまとめるように文章化してみます。 
 現在、インタビューに応じてくださった丸森育ちの方は、ご結婚され、お子さんがおられ、ごく普通の地域教会の会員として信仰生活をおくり、さらに一般の 上場企業に会社員として長年勤めておられる方です。とりあえず匿名とさせていただき、Aさんとしておきます。
 わたしの関心は、「ポール・ブローマンさんが亡くなった後の丸森チーム」がどのような変化を遂げたのかというところでした。強力な指導者が亡くなり、統 一性の要(かなめ)が存在しなったとみられた後で、次にどのような多様性がみられるようになったのかということと、そして何が変化し、何が変化していない のかというところに関心があったのです。そしてあえて念を押すまでもないのですが、わたしの直接的な関心は、丸森がどうなったか(どうなるか)ではなく、 日本でホームスクーリングを支えるとされる「チアにっぽん」が創立当初から現在に至るまで、丸森グループと密接不可分の関係にあるとみられるところにあり ました。

ハル「お忙しいところ、このような機会を与えてくださり感謝しま す。さっそくですが、ポール・ブローマンさんが亡くなった後、丸森グループにはどのような 変化がみられるのでしょう。なにか具体的な変化があったのでしょうか。」
 「少なくとも、ポールさんが亡くなられた後、表むきには大き な変化がみえないのですが、水面下に大きな変化があるとみられます。外部に漏れないように 徹底した情報操作がされているようですが、かつておこなわれていたいくつかのブロジェクトが頓挫するようになり、表向きの平穏な印象とは別に、いくつかの 問題が生まれて、全体としては危機的な状況にあると思われます。借金があるとはいえ、会社として蓄えてきた膨大な資金があるため、その利権をめぐって子ど ものなかにいくつかの確執がみられますが、これはどの世界にでもみられるのでしょう。」
ハル「危機的な状況というのは、いったいどんなことでしょう。」
 「稲葉さんを巻きこむようにしておこなわれてきたハリウッド の映画プロジェクトは、膨大な資金をつぎ込んだものの、そもそも企画として成り立たなくな り、膨大な借金を負ってしまいました。米国では映画のため資金を提供したところから訴えられるところにまで発展し、丸森チーム側も法的に争うかまえをと り、数名の弁護士を雇ったものの、報酬が多額であったため払うことができず、弁護士から新たな別の訴訟を起こされるまで発展しています。さらにもうひとつ は、虐待問題があります。米国にも丸森チームの拠点をつくることをねらっていて、数家族が企画に参加してロスにいたのです。ところが、そこでも体罰がおこ なわれ、虐待を受けたということで、警察に駆け込み、訴えに出た女性がいたのです。」
ハル「子どもへのスパンクを虐待とみたのでしょうか。」
 「いえ、もうすぐ成人になるという10代後半の女性にたいし ての制裁としての体 罰です。女性からの訴えを受けたロス警察は、米国に滞在していた丸森チームの主要なメン バーにたいして逮捕状を出し、拘束するためにスワットチームまで派遣しました。かかわりがあった主要丸森メンバーは捕縛される前に日本に逃げ帰ったので す。」
ハル「そういうことは、ハリウッドを丸森の拠点とする計画そのも のから撤退したという意味ですね。」
「そうです。逮捕状まで出ているのですから、丸森の全員についてではありませんが、かかわりをもった主要メンバーは日本人パスポートを取得して日本人と して入る以外に米国人として米国に戻ることはできません。逮捕されます。」
ハル「教科書の挫折に続く映画プロジェクトの挫折ということで、 日本での展開もどのようになるのか不透明になってきたのですね。」
「正確には不透明になったというより、いろいろな危機管理の手法を打ち出すようになったと思われます。情報操作の他に、たとえば、3年 ほど前から、従業員への報酬が個別に支払われるようになり、これまで許可してこなかった携帯電話の所持を認めるようになりました。それまでは、組織に献金 させるというかたちで直接報酬を渡さず、住居と食事を保障する以 外 は、労働者にたいして賃金を渡してこなかったのですが、およそ3年ほど前から個別に渡されるようになり、経済的な管理も、各家庭に任せられるようになって います。変化といえば、それは大きな変化ですが、かつてより強(したた)かな方法で組織の崩壊を食い止めておくような場面はみられます。」
ハル 「常識からいえば、何に使うかは自由なのではありません か。給料なんですから。」
 「今はかなり自由になりましたが、かつては何を買うかさえ チェックされていました。」
ハル「そうだとすると、かつては、給料の支給は対外的に取り繕っ ているだけで、報酬もなしに働かされている、つまり奴隷と同じだったという意味でしょ う。」
 「奴隷と同じでしたね。たとえばわたしの場合は上に無許可で コーラーを飲むことにたいしてでさえ体罰を受けたし、20才前後の女子にたいして、罰と称して 、バリカンで丸刈りにするのを見たことがあります。わたしの場合は夜逃げではなかったものの、何ももたないで丸森を後にしました。」
ハル「教育の名のもとで虐待が日常化していたという意味ですね。 ただ、今変化があるとしたら、たとえば先の給料の使い道など自由になっているとみていいのでしょう か。虐待も今はみられなくなったとか、自由に使える給料があり、使い道もいちいち報告しなくてもよくなったのだとしたら、かなり改善されてきたとみるほう がいいのでしょうね。」
 「そうみえますが、たとえば労働者の自由とか権利とかいう考 え方に基づいて、徹底的に改組されているのではなく、あくまで外からの批判をかわすための ダメージコントロールというとこから出ているのであり、労働基準法にもとづいたコンプライアンスからとはいえません。虐待そのものは、米国から逮捕状が出 ていることもあり、これも表向きにはみえなくなっただけで、組織への忠誠を裏切るような言動や態度にたいしては、職場から干すなど、いじめ体質には変化が みられないのです。つまり、外からの批判をかわすため、変化したように装ってはいますが、できるだけダメージを少なくするというだけのことで、資金難やロ ス警察によるガサ入れ騒ぎが落ち着き、法的にも問題がないとされた暁には、これまで通りの活動を再開したいと願っているとは思われますね。見通しはかなり 厳し いでしょうけれどね。」
ハル 「カトリックが第二バチカン公会議で示したアジョルナメント (現代社会へ適応)というのに似ていますね。本質的には、プロテスタントへの謝罪もなく、 変化を装いているだけのようなのに似ていますね。稲葉さんは、資金捻出のため、関西を拠点として新しい聖書博物館を建設する企画を打ち出したりしていると 伺っていますが。」
 「虐待をした結果、脱走した子どもたちへのはっきりとした謝 罪など、悔い改める様子がみられないうちは、変化そのものを疑うべきだと思います。看板伝道も変わらなく継続していますから。映画つくりが頓挫し、資金面 での膨大なマイナスを背負っているのですから、はじめから聖書博物館などの企画そのものに 見通しはないと思われます。その上で、丸森チームをみる諸教会や一般社会の目は厳しいものがあるでしょう。プライベートのことではありますが稲葉さんは離 婚を経験され、家族が崩壊し、日本においてのホームスクーリングのリーダーの資質についてさえ、赤信号が点灯している状態でしょう。」
ハル 「本題に戻りたいのですが、たとえば、生まれたばかりの 乳児 と養子縁組をして、丸森の子として忠誠な奴隷として育て、その後も市民生活としての知識を 与えず、おもてむきはグレープシティの社員として縛り付けるといいうことをやっていたのでしょう。今も、そのような人権や自由を奪うようなことをやってい るのですか。」
 「日本では、かつてのような養子縁組みはやっていません。日 本での法律の規制が難しくなってきたからだとみられます。ただし、日本ではなく、ミャンマーを拠点として同じような養子縁組をはじめているようで、組織の 人材育成に乗り出しているとみられます。つまり、養子とされた乳児には、生まれつき将来を選択する自由や権利がなく、事実上の奴隷として一員に組み込まれ るのです。一方、日本では、グループの崩壊を阻止するために、組織に縛り付けるための方法において、より巧妙な手口が使われるようになりました。労働基準 法に則ったコン プライアンスは尊重していないと思われます。たとえば、チアにっぽんを通じて外部からグループに巻き込まれた人々も、とりあえず、住むところや食べるも の、そして“看板伝道”をふくめて、何をやるかなどあて がわれているので、あえて人権問題などで法に訴え出ることなどはしていません。チアにたい しては、内部に、チアにかかわっている人についての“ランクづけリスト”が存在します。」
ハル 「“ランクづけリスト”ですか。それはどんなものです か。」
A 「資格をもっているなどはAのVIPランク。グレープシティ でも社員優遇されます。さらにそれほどスキルがなくても、役に立つ場合は、Bランクとして 要所の仕事に案内されます。そしてさらにスキルもなく会社適応が低い場合は、看板伝道などにまわされます。Cランクですね。看板伝道について、教会から批 判され、嫌われているところにさえ、“正しいことをやっているから迫害を受けているのだ”とか言い聞かせられ納得させられているというのは、カルトによる 被害の典型的な悲惨そのものというほかありません。」
ハル 「稲葉さんの言い方ですと、丸森では看板伝道はものすご く大切みたいに言われていたと記憶していますが、丸森サイドでの扱いとしてはその意味ではCラ ンク。つまり、仕事はできないけれど、とりあえず丸森チームの一員として役割をあてがっておくみたいなのですかね。“看板伝道”なるものが伝道の名に値す るか再検討すべきでしょうね。外からみると自己陶酔そのものではないかと疑われます。キリスト教への印象という意味では、理解を得るどころか、全く逆効果 を生み出すのではないでしょうか。」 
 「そう思います。聖書の扱いかたひとつとっても変化はみられ ません。聖書に聴くとか従うというのではなく、聖書は、いつでも自分の言いたいことを補強して相手を攻撃するための武器だと考えて いますね。
(weaponize)黄色 い看板も、人に地獄行きを宣言するための道具です。」 
ハル 「仮に丸森が本質的な解体をみた場合、将来どのようなかた ちで生き残れるとお考えですか。」
A 「丸森グループという所属から完全に撤退し、それぞれが、教 会籍を得るなど地域教会との健全な繋がりをもたなければ再生されるとはいえないでしょうね。つまり、丸森というレッテルを貼ってほしくないなどダメージコ ントロールに終始しているばかりで、外側を取り繕うだけでは再生できないと。しかし、そのように自覚しはじめている人たちが丸森内部にいることも事実です ね。わたしも少しづつコンタクトをとっているところです。嵐が過ぎさるのを待つかのように、関係している主要メンバーを海外での仕事に従事させているのも 確かです。いえ、おもてむきは待避ではなく、世界宣教の名のもとにキリストのために働いているとなっていますが。宣教の名のもとに、どんな不正も悪さえも 許容されるというところまでいくと、これもカルトのひとつの性格なのではないでしょうか。」
ハル 「カルトからの救済という活動についてはどうお考えです か。」
A 「わたしの過去については、これまですべて心のなかに封印し てきました。脱走した人たちは、もともと社会生活についての訓練などがいっさいない状態のまま、外に放り出されたようでしたので、かなり荒れ果てた生活を おこなっている人もいます。わたしの場合は恵まれていたと思います。正直いうと、いまは彼らのために何かをしなければならないとかいう心の状態ではありま せん。」
ハル 「ロス警察が丸森グループの犯罪性を立証し、虐待があった かなかったかという点で、刑事起訴されるかどうかはおおきな要素ですね。こんご、“チアにっぽん”がホームスクーリングを健全なかたちでサポートできるよ うに改革されていく見通しについては、あまり明るくないとみたほうがいいでしょうか。」
A 「そこまでは、ホームスクーリングに直接かわわりのないわた しからはなんともいえません。ただ、チアにっぽんが丸森グループへに人材を誘い込むための“勧誘エージェント”として機能している限り、すくなくとも隠さ れている真実が明るみに出され、あとは直接かかわりのあるホームスクーラーたちが、自分の頭で考え、公正で自律的な判断ができるような生成がなされていく ことに委ねるしかないのではないでしょうか。」
ハル 「今日は、どうもありがとうございました。」