Tokyo 10月22日(日) 
     
 2017年 に成立した「教育機会確保法」。
 日本におけるホームエジュケーターにとって新しいことはありません。それでも、いくつかの問題はあります。
 ひとつは、この法律がこれまで行政がとってきた方針や方策の基本路線に何の変更を加えているものではないこと。
 もうひとつは、もともと今の現行憲法でも示唆されている「親の教育権としてのオルタナティブな教育」についてはなにも触れられていないこと。そのため、この法律をもって、ホームエジュケーションについて何かの新しい側面が生まれたとみることはできず、むしろ現行行政にたいして法的規制をかけ、今までよりさらにギスギスした教育環境を創り出しただけに過ぎません。
 やや強くいいますが、このような法は全くろくなものではありません。

 普通教育とは、学校への就学義務をいうのではなく、親の自然権である教育権に基づいて、子どもに教育をあたえる義務であるとされるべきです。ねんのため、あらためて現行の教育基本法をそのまま引用しておきます。

  (家庭教育)
第十条  父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
2  国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

 今回の法律は、これまで日本国憲法に示されている「普通教育」の定義を改変しようというのではなく、むしろ「不登校」という日本独特の表現を、はじめて法のなかに登場させているところ。親が“普通教育”を子どもにおこなうばあい、学校でおこなう教育以外の道を開いているわけではなく、むしろこれまでより明確に、不登校はなんらかの児童の異常な状態であるという立場。つまり、ひとつは、これまで不登校対策が地方自治に“丸投げ状態”だったことをあらためて、政府の立場からさらに強制的に行政システムに組み込ませようとすること。もうひつは、すべての学校システムを総動員して子どもが学校にかかわりをもたない状態を根絶しなければならないという、これまで政府文科省が示してきた立場を再認識させるのが大きなねらいです。
 なお、不登校対策を親の選択肢の多様化にもとめるのではなく、学校行政のジョブを不登校児をさらに積極的に傘下に入れるようにという指示で、法制化されているとしても、罰則規定が伴っているのではありません。
 しかも、この法律には教育基本法にみられる“家庭教育の自主性を尊重しつつ”という部分への対応が全く欠落しているため、ホームエジュケーションを志すに道を開いているというより、むしろ、これまでの不登校問題対策を強化し「ホームエジュケーションは不登校である」という枠組みをさらに固定化。学校に行かないことにたいして“不登校”というレッテルをはることを行政にたいして命令できるという悪質なものです。
 不登校ネットは、必要なのは「定義」や「教育機会」の提示ではなく、子どもが学校に行かなくても生きていていと感じられる環境」であるということから法案であった頃から反対意見表明を継続していました。