| Hino-city |
8月19日
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ハプニングの夏
■ぼくが卒業した三笠高校は、一度だけ、北海道地方大会で優勝して、甲子園に行ったことがありました。以前どこかのページに書いたかもしれないですね。小さな田舎の町は、甲子園に行くことがテレビニュースに出ることになり、それは町を挙げての大騒ぎになりました。野球部の選手を送り出す日、町中の吹奏楽部員が集められて市内をパレードがおこなわれて、ぼくは中学のブラスバンド部だったので、そのパレードにくわわり、その異常な興奮だったの様子が目に焼きついています。市長さんと教育長さんがいっしょに演台に立ち、“町の名を全国に知らしめた功績”をたたえたのです。結果は、なんと、松商学園の降旗英行投手に、「対三笠高校戦でノーヒットノーラン達成」という記録を与えてしまったのでした。一球もヒットできなかったし、一人も塁に出られなかったのです。■もともと、北国は、冬場の練習が難しく、「野球は南、相撲は北」と呼ばれるくらい、緒戦勝利さえ、難しいといわれていたものの、ネガティブなほうの記録をつくったのでした。パレードを繰り出してまで、お祭りのような騒ぎに送られたナインは、故郷に錦を飾ることができなかったばかりではなく、誰にも知られないように、こっそりと帰宅させられたのだと噂でうかがったのです。この顛末は、道内限定で出されている『一度だけの甲子園 北海道高校野球物語』という本に、「ハプニングの夏」として記録されています。興醒めという言葉がこれに当てはまるかどうかわかりません。少年時代のぼくの心には、「懸命に戦った選手たちに対して、せめて励ましや労わりの態度が少しでもみられたら」と感じました。今年、甲子園で活躍している駒大苫小牧高校のようになっていたかもしれません。ありえなくもないです。■失敗した若人を生かすか殺すかここで決まります。挫折をばねにしてさらなる前進をみることができるとしたら、周囲からの励ましが絶対に必要だと考えます。プライドを傷つけられたとか「故郷の名声に泥を塗った」みたいな対応のしかたは、可能性のどんな片鱗すら摘み取る結果になるでしょう。